2015年6月8日月曜日

『エリート・ディフェンスマン 入門』 (下) - ケヴィン・シャッテンカーク

さっそく続きに参ります。

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 やあ。『エリート・ディフェンスマン』(上)は読んでくれたかな?これを読む前にそっちの方も読んで欲しい。ツイッターでウェスタン・コンファレンスの選手ばかりだ、との指摘があったので、今回はイースタンのディフェンスマンの記事を書こうと思う。頻繁に対戦する選手の方がやはりよく知っているので、このリストで書いていない選手が居ても、悪気はないので、どうか気分を悪くしないで欲しい。



P.K スバン (P.K. Subban)

 面白いことに、僕たちは同じ年齢で、昔から対戦し合って来た。彼は、ダウティーと同じように、自分のプレーに自信を持っている。子供の頃からだ。10歳の時にトーナメントでトロントに行った時に初めてスバンと対戦した。彼の上手さは噂に聞いていた。チビのホッケー界で伝説のように言われていた。試合が始まり1分も経たない間に、彼がレッドラインを超えた辺りから爆弾のようなスラップショットを打ち、入りそうになった。その試合であと2回同じシュートを打った。僕は「なんだこいつは。」と思った。そして今NHLでも対戦している。

 P.K.は嫌われ者だが、それは彼の狙いだ。彼のプレーは相手のイライラさせる。そして、相手はP.K.に気を取られ、プレーから気を散らせる。これはとても賢いことだ。P.K.を見て、みんながわかることは、彼のスケーティングでのエッジの使い方の上手さだ。フォアスケーティングからバックへ変換する際に、推進力を失わない。これがエッジワークの見本だ。


 彼は去年の対ボストンのシリーズで、本領を発揮したと思う。ノリス・トロフィー(NHLのベスト・ディフェンス賞)を受賞した事も大きかったが、プレーオフで、キツイ状況でのプレー。シリーズ1試合目、アウェーの試合で、ダブルOTのゲーム・ウィナーを決めた事はすごい成果だ。打つ時に膝が氷に付くほどのバッティングには、もの凄いパワーは込められている。





エリック・カールソン (Erik Karlsson)

 スケーティング、パックハンドリングの上手さ、それらのスキルより増して優れているのが、ゴール前の渋滞をほぼ毎回抜けて、キーパーまで届かせる先天的なシューティング能力。彼が放つシュートがブロックされるのはほとんど目にしない。強いスラップショットを見るのはみんな好きだと思うが、ポイントからの強いリストシュートも同じくらい効果的である。カールソンはそれにおいて、誰よりも上手だ(オリバー・エックマン・ラーソンは少しの差で2位だ)。ウィング選手にとってゴール前のチップで究極的にしやすい場所があり、(踝(くるぶし)から膝の間の高さ)カールソンはそれによって、誰よりもアシストをしている。

 最近では、より大きく、安全性の高い防具により、選手たちは氷上で横になり、ブロックすることを前ほど恐れてはいなく、一シーズンに200以上ブロックしているディフェンスもいる。(この数字はばかげている。)こういった時代には、ポイントでパックを持っている時、数えきれない程の足がシューティング・レーンに入ってくる。カールソンはNBAのポイント・ガードの様にブルーライン上を徘徊し、目で周りを惑わせ、自分でシューティング・レーンを作り出す独特な能力を持っている。

 マークするウィングを凍らせるような動きを見てほしい。


 そして、さすがヨーロッパ出身。NHLではあまり見る事がないような技術を見せつける。NHLの中で(ディフェンスの中でとは言っていない)こういったハイレベルなプレーをこんなにも簡単であるかの様に見せてしまうのも、彼しかいないと思う。




クリス・レタング (Kris Letang)

 彼は明らかに上手なスケーターだ。よく見てみると彼は、ターンしてから2回か3回氷を力強く蹴るだけで、ディフェンスと差を付けていることがわかる。しかし、レタングの最大の武器は、パックを持った時の平静さだ。ブルーライン上を徘徊しているとき、彼の顔は常に上がっていて、次のプレーを探している。彼は自分についている相手を見ているのと同時に、その相手の後ろの選手たちの動きも把握し、1プレー先を読んでいる。彼の周囲的観察力は驚くべきである。僕は彼のパックを持った時の平静さをずっと尊敬している。彼は氷上の全てを完全に把握しているように思える。このように彼の眼は常に周囲を見ている。


 (上)の記事で言ったように、チェンジをする時のダンプの際に、空中のパックをスティックで落とす動体視力と、すぐさまにパスを出してチャンスを作る選手がチームに居る事は、非常に重要であることはあまり知られていない事実である。学ぼうとして学べる技術ではなく、レタングはこれがすごく上手だ。

 ファンの多くは気づいていないかも知れないが、2対1の状況が出来る一つ前のプレーを注意してみて欲しい。その状況は、ディフェンスがブルーラインで空中のパックを奪い、フォワードへの素早いパスによって生まれる場合が多い。
 


アレックス・ピエトランジェロ (Alex Pietrangelo)

 ペトロ(ピエトランジェロ)には、もう一つ、テレビではあまり話題にならない優れた能力がある。脱出力である。ゴール前のリバウンドの取り合いで、たくさんのスティックがぶつかり合い、選手たちがゴチャゴチャになっている場面があるとする。世界中の誰かがパックをキレイに持って行って、ブレークアウトのパスを出すとすれば、それはきっとペトロだ。その場合の統計値はある?もし存在しないとすれば、作った方がいい。Wins From Scrums. WFS. (ゴッチャの中での勝ち)。彼のWFSのパーセンテージはきっと80%以上だと思う。

 そしてもう一つ、過小評価されている、彼の知られざる能力はシュート・ブロック。彼はいつも、シューティング・レーンに入り、枠に入らないようにパックを「一口」触る。ペトロは今シーズン含め、3シーズン連続、ショット・ブロックの統計値が上位20位に入っている。そして、ディフェンスによるアシストの統計でも、上位20位である。持ち合わせる2つの能力として、とても独特な組み合わせだ。

 オフェンスでは、プレーへの参加をする機会を見極める能力も本当に上手になって来ている。フェイスオフ・サークル周辺から多くのゴールを決めている。ディフェンスマンとしては珍しい。T.J. オーシーからパスを貰うため、小さなスペースに入っていく彼を見てほしい。


 これらの能力が、彼がエリートであることを証明できないのであれば、彼は仮想の野球チーム(ベースボール・ファンタシー)のことで、みんなを死ぬほど退屈にさせる能力も持っている。ドラフトの(もちろん仮想)14位で獲得したリリーフのピッチャーの話なんて、誰も興味ないぜ、ペトロ。

 今の所はこれでおしまい。@shattdeucesに、ツイートで他の誰かについて書いて欲しいとの依頼があれば、来シーズンが終わった際に(6月末に終わらないことを祈る)もう一つ、記事を書こうと思う。

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 いかがだったでしょうか。映像があると、説明もわかりやすいですね。(私の下手な訳でわかりやすくなっている事は内緒で…)

 まだまだ気になっている記事もありますので、お楽しみに。

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